在宅医療関連の指導管理料

いろいろな指導管理料があるが、重症児で使えるものは下記のとおりである。退院前に算定できる指導料と、退院後に算定できる指導料とがある。退院前は、退院調整に向けてせっかく頑張っても、指導料を取り忘れることが多々あるため、よく知っておきたい。


(1)退院前に算定できる指導料
① 退院前在宅療養指導管理料(C100)
② 退院時共同指導料2(B005)
③ 退院前訪問指導料(B007)

(2)退院後に算定できる指導料
④ 在宅酸素療法指導管理料(C103)
⑤ 在宅人工呼吸指導管理料(C107)
⑥ 在宅気管切開患者指導管理料(C112)
⑦ 在宅小児経管栄養法指導管理料(C105-02)
⑧ 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料(C105)


(1)退院前の指導料は、入院中に退院調整に向けての努力に対して算定される。微々たる額だがあると嬉しい。ただ、取り忘れることが多い。


① 退院前在宅療養指導管理料 120点
入院中の患者が在宅療養に備えて一時的に外泊するに当たり、当該在宅療養に関する指導管理を行った場合に120点を算定できる。6歳未満の乳幼児に対して在宅療養に関する指導管理を行った場合には、乳幼児加算として、所定の120点に200点を加算できる。

② 退院時共同指導料2 300点
病院医師が、入院中の患者に対して、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、地域の在宅療養医と訪問看護ステーション看護師と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、入院中1回に限り300点が算定できる。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者(末期がん、留置カテーテル、人工肛門など)については、当該入院中2回に限り算定できる。行った指導の内容等について、要点を診療録に記載するとともに、患者又はその家族等に提供した文書の写しを診療録に添付しなければならない。病院医師が、地域の在宅療養医、歯科医師(or歯科衛生士)、保険薬剤師、訪問看護ステーション看護師、リハビリ、介護支援専門員のうちいずれか3者以上と共同して指導を行った場合に、所定の300点に2,000点を加算できる。

③ 退院前訪問指導料 555点
患者の円滑な退院のため、患家を訪問し、家族に対して、退院後の在宅での療養上の指導を行った場合に、入院中1回に限り555点を算定できる。

(2)退院後に算定できる指導料は、退院日及び、外来受診時に月1回算定できる。指導管理料は一番高いもの一つしか算定できないが、加算はいくつでも算定することができる。実際には、加算を重ねて診療報酬を得ることになる。


④ 在宅酸素療法指導管理料 2400点
在宅酸素が必要な児に対しては、「在宅酸素療法指導管理料2その他の場合」2500点を算定し、酸素会社と契約をして患児に酸素システムを提供する。チアノーゼ性先天性心疾患(ファロー四徴症など)に対する在宅酸素療法指導管理料1(1300点)とは、別枠である。指導管理料を算定するときには、SpO2を外来で測定し、診療録に記載しなければならない。特に低酸素状態が著しい患児には、SpO2モニターが酸素会社から供給され(月額レンタル料は約6000円)、その費用は在宅酸素療法指導管理料の中に含まれている。ただ、モニターのプローベ代(1個約8000円)は酸素会社から供給される場合と自費で購入しなければならない場合とがあり、契約する会社により異なる。将来、この問題は是正される可能性がある。
在宅酸素療法材料加算を使用した場合は 100点加算される。(平成28年度診療報酬改定)
酸素濃縮装置を使用した場合は 4000点加算される。
大きな酸素ボンベを使用した場合は 3950点加算される。
携帯用酸素ボンベを使用した場合は 880点加算される。
液化酸素装置を使用した場合は 設置型で3970点、携帯型で880点加算される。
一般的な在宅医療の小児患者では、酸素濃装置(4000点)+携帯用酸素ボンベ(880点)を使用することが多い。

⑤ 在宅人工呼吸指導管理料 2800点
基礎算定額2800点だけでなく、一般的な在宅人工呼吸器(陽圧式人工呼吸器)を使用していれば7480点を加算できる。NPPVを使用していれば6480点を加算できる。Nasal-CPAPを使用していれば、経鼻的持続陽圧呼吸療法用治療器加算として1210点を加算できる。器械のリース料や関連物品(呼吸回路、蒸留水など)はこの診療報酬から賄われる。睡眠時無呼吸症候群に使用されるマスクCPAPは、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料(250点)で算定されるが、これと混同しないで頂きたい。

⑥ 在宅気管切開患者指導管理料 900点
気管切開を管理していれば、900点算定できる。気管切開カニューレの交換、気切部のYガーゼや消毒にかかる費用は、ここから賄われる。ただし昨今は、消毒をルーチンにしないことが一般的である。人工鼻を使用する場合には1500点を加算し、人工鼻を患者に支給する。人工鼻を多く使用する患者では、多く支給すると赤字になることがあるため、個数には注意が必要である。最も廉価なファーマトラック®でも30個で約1.5万円かかる。

⑦ 在宅小児経管栄養法指導管理料 1050点
胃チューブや胃瘻を介したチューブ栄養では、ミルクでも栄養剤でも1050点を算定できることになった(2012年度新設)。さらに栄養管セットを使用する場合は2000点加算、注入ポンプを使用する場合は1000点加算される。

⑧ 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料 2500点
エレンタール(消化態栄養剤)を使用して注入している場合は、もう一つの指導管理料である在宅成分栄養経管栄養法指導管理料を算定できる。こちらのほうが高い。加算に関しては④在宅小児経管栄養法と同様の加算が取れる。

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