代表挨拶


 わが国では、近年、幼い命を失うことが減ってきました。それは、かつてワクチン後進国と言われていたことを払拭するかのように、他の先進国と同等の予防接種がなされるようになったこと、日本語で書かれた診療ガイドラインが増え、国内のどの医療機関でも行われる標準的な医療が広がったこと、高度先進医療が進歩したことなどがあげられます。  
 一方で、生きていくために、気管切開、胃瘻、導尿などの医療ケアが必要なこどもが増えています。かつては、このようなこどもたちは、病院や施設で長く暮らしていました。  しかし、このこどもたちが、家族と暮らすこと、遊ぶこと、教育を受けることができることを私たちは気づきました。今では、かつて病院や施設にいたこどもたちが、医療機器とともに、家庭に帰ることができるようになり、自宅で、医療者が行う医療ケアと同等の「医療的ケア」を受けながら、家族と生活しています。
 わが国も、このこどもたちと家族を支援するために、令和3年に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」を作り支援しています。医療的ケア児を守る法律を作った国は世界で日本だけだと思います。その結果、保育も含めた多くの福祉と教育を受けることができるようになりました。
 埼玉県小児在宅医療支援研究会は、埼玉県からの委託事業のもと、埼玉県及び日本の医療的ケア児、家族、多専門職種(医療関係者、教育関係者、福祉関係者、保健関係者など)が仲間となって、笑顔ですごすための講演会や研修会を開催しています。
 是非、一度、現地参加でもWeb参加でも結構ですので参加していただけますか?もちろん、超えていかねばならない課題は山積みです。しかし、一人の力ではできないことも、みんなで悩んで、力を合わせることができたら、それまでに見ることのできなかった世界が広がってくると信じています。私たちの仲間になってくれたらうれしいです。

埼玉県小児在宅医療支援研究会代表 是松聖悟.