小児在宅医療関連の公的な費用助成
【医療給付】
患者の医療費自己負担分を国が負担してくれるのが医療給付制度。そのため、患者は医療費を病院の窓口で支払う必要がない。公費負担医療制度とも言う。
① 養育医療
いわゆるNICU管理された新生児は養育医療の対象となる。しかし退院すると給付が終了する。
② 育成医療(自立支援医療)
身体に障がいのある18歳未満の児童で、主に手術や透析によって確実な治療効果が期待できるものは育成医療の対象となり、入院・通院ともに医療給付が受けられる。
③ 小児慢性特定疾患
患児の基礎疾患が小児慢性特定疾患(2012年4月現在で11疾患群、514疾患)に該当する場合は、医療費の自己負担分を給付してもらえる。また、小児慢性特定疾患の日常生活用具給付事業によって、身体障害者手帳がなくても吸引器、吸入器、特殊寝台、バギー、SpO2モニターなどの給付を受けることができる(ただし所得による制限がある)。あるいは、難病患者見舞金などの給付制度がある自治体もある。申請から決定まで2ヶ月程度を要するため、なるべく早期から申請することが望ましい。
④ 特定疾患
主に成人を対象とした難病(2012年4月現在、71疾患)に該当する場合は、特定疾患と認定され、医療給付を受けることができる。
【医療費助成】
医療費自己負担分の一部もしくは全部を、市町村から助成してもらえるのが医療費助成制度。国家から来る医療給付とは、財源が異なる。
⑤ 乳幼児医療
就学前もしくは15歳までの小児の医療費の一部は市町村が負担してくれる。対象年齢は市町村によって大きく異なる。
⑥ 心身障害者医療
およそ身体障がい者手帳1、2級または療育手帳A、特別児童扶養手当1級を所持している者が対象に相当するが、市町村により基準が異なる。高額所得者、生活保護受給者は対象外となる。
【産科医療保障制度】
産科医療補償制度とは、通常の妊娠・分娩にもかかわらず分娩に関連して重度脳性麻痺となった新生児に対し、補償が支払われる制度である。分娩を取り扱う病院、診療所や助産所が加入する。お産一件ごとに分娩機関が3万円の掛金を負担する。制度に加入している分娩機関において「出生体重2000g以上かつ妊娠33週以上」、または「妊娠28週以上で所定の要件に該当した場合」で出生した新生児が、身体障害者障害程度等級1級または2級相当の重度脳性麻痺となった場合に、補償の対象となる。ただし、先天性や出生後の要因による脳性麻痺については補償の対象外となる。補償の対象と認定された新生児に対しては、看護・介護のための準備一時金600万円+補償分割金120万円×20年間=計3000万円が支払われる。
この制度の開始に伴い、掛金相当分の分娩費の上昇が見込まれることから、健康保険から給付される出産育児一時金が平成21年1月から3万円引き上げられた。
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